賴清德520演說全文

私は若い頃、医療を実践して人の命を救いたいと考えていました。

政治家になってからは、台湾を変えたいと思っていました。

今、私はここに立って、この国を強くすることを志しています。

私は、中華民国第16代総統に就任するという人民の負託を受け、中華民国の憲法制度に則り、国を前進させるという重大な責任を担うという大きな信念を持っています。

1949年のこの日、台湾は戒厳令を敷き、独裁政治の暗黒時代を迎えました。

1996年のこの日、台湾で初めて民主的に選出された総統が就任の宣誓を行い、中華民国は主権を有する独立国家であり、主権は国民にあることを国際社会に発信しました。

2024年のこの日、台湾は3度の政党交代を経て、初めて同じ政党による統治が行われ、正式に3期目の政権がスタートします。台湾もまた、挑戦に満ちた、しかし限りない希望を孕んだ新時代への船出となります。

この旅は、この土地の人々の犠牲と献身の結果です。大変でしたが、我々はやり遂げました。

この瞬間、私たちは新政権の幕開けを目の当たりにしているだけでなく、民主主義のために辛くも勝ち取った新たな勝利を迎えています。

多くの人々は、蕭美琴副総統と私の当選を「8年間続いた政党交代制の呪縛を解いた」と解釈しています。実際、民主主義とは、国民が自分たちの家の主人であることを意味します。どの選挙においても、幻の呪文などというものは存在せず、国民が与党を最も厳しく吟味し、国の未来を最も真実に選択するものでしかありません。

蔡英文前総統、陳建仁前副総統をはじめとする執行部の皆様には、過去8年間にわたり、台湾の発展のために堅固な基盤を築き、ご尽力いただきました。どうか温かい拍手をお願いします。

また、外国勢力に左右されることなく、民主主義を堅実に守り、前進し、後ろを振り返ることなく、台湾の歴史に新たな1ページを刻んでくれた同胞の皆さんに、改めて感謝申し上げます。

任期中の毎日、私は「正義を貫き、思いやりを持ち、謙虚であり」、「国民を自分の家族として扱い」、私に寄せられた信頼と負託に応えることができるようにします。また、新政権は、国民に試される最高のパフォーマンスを提供することに専念します。統治に革新を続け、台湾の新しい政治スタイルを創造していきます。

一、国政推進における行政と立法府の連携と協力

今年2月に発足した新国会は、台湾で16年ぶりに「三権立法」を実現した立法府です。この新たな政治状況を前に、期待する声もあれば、不安視する声もあります。

ここでお伝えしたいのは、これは新しい民意選択のモデルであるということです。新しい気持ちで「三党半数以下」を見ると、衆参の政党がそれぞれの考えを共有し、協力してこの国のさまざまな課題に挑むことができるようになるということです。

しかし、国民は、理性的な政党が国民に対して説明責任を果たすことも大いに期待しています。競争とは別に、国が着実に前進していくために、政党は協力の信念も持つべきです。

立法院の運営においては、手続き上の正義が守られるべきであり、多数派が少数派を尊重し、少数派が多数派に従ってこそ、紛争が回避され、社会の安定と調和が保たれるのです。

民主主義社会では、国民の利益が最優先され、それが民主主義の本質です。国家の利益は政党の利益よりも優先され、それが政党の使命です。政府・野党を問わず、政党が憲法に沿った法案を推進し、「国民第一」「国家第一」の精神を貫けば、自ずと政権は円滑に進むのです。

また、行政院卓榮泰院長率いる内閣チームは、社会にとって有益で、政府と野党のコンセンサスが得られている問題を優先し、国民の問題解決のために積極的な行動と革新的な思考で世論に応え、国民に奉仕します。

現在、0403 (4月3日) の復興作業が進行中です。改めて、犠牲になられた方々とそのご家族に哀悼の意を表します。また、救援・復興活動にご協力いただいたすべての方々に感謝申し上げるとともに、国際社会の皆様のご心配とご支援に改めて感謝申し上げます。

中央政府は、花蓮の人々が一日も早く通常の生活に戻れるよう、復興と産業活性化のために285億5000万元の投資を計画しています。

また、台湾の民主主義を深め、インド太平洋の平和を守り、世界の繁栄を促進するために、同胞の皆さんと手を携えていきたいと思います。

二、民主台湾、世界の光

同胞の皆さん、民主、平和、繁栄は台湾の国是であり、台湾と世界を繋ぐものです。

台湾は「世界の民主主義の連鎖」の光明であり、民主台湾の輝かしい時代が到来しました。

総統直接選挙以来、台湾は世界で最も繁栄した民主国家のひとつとなりました。私たちは人権を推進し、民主主義と自由の価値を世界に示し続けます。

台湾はアジアで初めて同性婚を合法化しました。

台湾は、伝染病の予防において民主主義が独裁主義よりも優れていることを実証しました。

台湾は、民主主義指数と自由度においてアジアで上位にランクされています。民主的な台湾は世界の光となり、この栄誉は台湾のすべての人々のものです。

今後も新政権は、台湾の民主的活力を有効に活用し、国家の発展を促進し、国際協力を深めていくでしょう。

内政面では、実力主義的な人事を行い、清廉潔白で勤勉であり、民主的な統治を実施し、開かれた政府を確立し、「公開、透明、人民所有」の精神で公共政策への国民参加を奨励し、18歳公民を引き続き推進し、国のビジョンを共に実現していきます。

対外的には、台湾を民主世界のMVPとするため、民主国家と協力して民主共同体を形成し、発展の各分野で経験を共有し、偽情報と闘い、民主主義の弾力性を強化し、様々な課題に対処していくのです。

三、民主台湾、世界平和の舵取り役

平和はかけがえのないものであり、戦争に勝者はいません。来年、第二次世界大戦の終結から80年を迎えますが、台湾は他の国と同様、戦後復興の困難な道を歩み、今日の発展の実りを得ました。

現在、ロシア・ウクライナ戦争とイスラエル・パレスチナ戦争は世界に影響を与え続けており、中国の軍事行動と灰色の脅威は、世界の平和と安定に対する最大の戦略的挑戦とみなされています。

台湾の「第一列島線」における戦略的位置は、世界の地政学的発展に影響を与えてきました。早くも1921年に蔣渭水氏は、台湾は「世界平和の最初の守護者」であると指摘しており、2024年の今日、台湾の役割はさらに重要になっています。

台湾海峡の平和と安定が世界の安全と繁栄に不可欠な要素であることは、すでに高い国際的コンセンサスとなっています。

現在の複雑な国際情勢を受けて、世界各国は地域の平和と安定を維持するために積極的な協力を開始しています。

先月、米国はインド太平洋安全保障追加歳出法の制定を完了したばかりです。

同法は、台湾海峡の平和と安定を支援するため、インド太平洋地域に追加の安全保障支援を提供するものです。

私たちは、世界各国が台湾を重要視し支援してくれていることに感謝するとともに、民主主義と自由が台湾の不屈の主張であり、平和が唯一の選択肢であり、繁栄が長期的な安定の目標であることを世界に宣言したいと思います。

台湾海峡両岸の将来が世界情勢に決定的な影響を与える以上、台湾の民主化を引き継いだ私たちが平和の舵取りを行い、新政権は「四つの主張」を堅持し、威張ることなく現状を維持します。

また、中国に対し、台湾を軍事的・文化的に攻撃して脅すことをやめ、台湾とともに台湾海峡と地域の平和と安定を維持し、世界が戦争の恐怖から解放されるよう、世界的な責任を担うことを求めたいと思います。

台湾の人々は平和を愛し、他人に親切です。もし国民の福祉が国家指導者の最優先事項であるならば、台湾海峡の平和、互恵、共存は私たちの共通の目標であるべきだと、私は常に信じています。

従って私は、中国が中華民国の存在という事実を直視し、台湾の人々の選択を尊重し、誠意を示し、互恵と尊厳の原則の下、台湾の選挙で選ばれた合法的な政府と協力し、対立を対話に、交流を包囲網に置き換え、二国間の相互観光の再開と台湾への学位留学生の入国を皮切りに、平和と共栄の追求のために共に努力することを願っています。

同胞の皆さん、私たちは平和を追求するという理想を持っていますが、幻想を抱くことはできません。中国はまだ台湾を侵略するための武力行使を放棄していないため、中国の提案を全面的に受け入れ、主権を放棄したとしても、中国による台湾併合の試みはなくならないことを理解すべきです。

中国のあらゆる脅威に直面する中、われわれは国を守る決意を示し、すべての国民に国を守る意識を高め、国家安全保障体制を整備し、「四つの平和の柱行動計画」を積極的に実施し、国防力を強化し、経済安全保障を構築し、安定的かつ原則的に両岸関係に指導力を発揮するとともに、価値観外交を推進し、世界の民主主義諸国と平和的共同体を形成して抑止力を発揮し、戦争を回避しなければなりません。これは抑止力を発揮し、戦争を回避し、力による平和という目標を達成する方法です。

四、民主台湾、世界繁栄の原動力

台湾は世界を必要とし、世界は台湾を必要としています。台湾は世界への扉を開いただけでなく、世界の舞台の中心に足を踏み入れたのです。

未来の世界を見渡せば、半導体はいたるところにあり、AIの波が押し寄せています。台湾は今、AI革命の中心に位置し、先進的な半導体技術を習得し、「民主主義のグローバル・サプライチェーン」の鍵を握り、世界の経済発展、さらには人類の幸福と生活の繁栄に影響を及ぼしています。

同胞の皆さん、私たちが中華民国台湾の未来を2300万人の人々によって決定されることを提唱するとき、それは私たちが決定する未来だけではありません。私たちが決める未来は、私たちの国の未来であると同時に、世界の未来でもあります。

台湾が一歩前進するたびに、世界も一歩前進するように、私たちは正しい道を歩み、私たちの産業は大きな変化をもたらし、世界の繁栄の原動力とならなければなりません。

かつて私が最高経営責任者（CEO）や副総裁を務めていた時、台湾全土の産業を視察し、台湾の産業の可能性やニーズを理解してきました。今後、政府は産業界と緊密に連携し、台湾の発展を促進するための3大方針を把握していきます。

第一の方向性は、「将来を見据え、賢く持続可能であること」です。

気候危機に直面し、2050年ネット・ゼロ転換をしっかりと実行しなければなりません。グローバル・インテリジェンスへの挑戦に直面して、我々は半導体チップのシリコンアイランドという基盤の上に立ち、台湾を「人工知能の島」として推進し、AIの産業化を促進し、AIの革新的な応用を加速し、AIの産業化を可能にして、AIの演算力を利用して国力、軍事力、人間力、経済力を強化するために全力を尽くします。

また、イノベーション主導の経済モデルを構築し、デジタルトランスフォーメーションとネットゼロトランスフォーメーションの二軸を通じて中小企業のアップグレードと再編を支援し、スマートで持続可能な新しい台湾を創造し、台湾の第二の経済的奇跡を生み出すために、包摂的成長を追求しなければなりません。

新たなイノベーションに投資し、目に見えない新世代のチャンピオンを育成するだけでなく、量子コンピューター、ロボット、メタ宇宙、精密医療など、さまざまな分野で将来を見据えた技術に果敢に投資し、若者が夢を追い求め、未来の世界で台湾が主導的な地位を確保できるようにしなければなりません。

第二の方向性は、「宇宙での競争と海洋探査」です。

台湾をアジアにおけるドローンの民主的サプライチェーンの中心にすること、また次世代通信用の低・中軌道衛星を開発し、世界の宇宙産業に参入することを目標に掲げています。

また、海洋を開拓し、海洋国家の強みを生かし、海洋における国民の生活を豊かにし、海洋科学技術研究に投資して海洋産業の発展を促進し、国家競争力を高めます。私たちは、台湾の経済と産業がより多くの方向に発展し、これまで以上に遠くへ行くことを望んでいます。

第三の方向性は「グローバル化とマーケティング」です。

台湾はすでにCPTPPへの加盟を申請しており、地域経済統合を積極的に進め、世界の民主的な国々と二国間投資保護協定を締結し、貿易パートナーシップを深め、炭素関税問題を解決し、発展の余地をさらに広げていきます。

また、半導体、人工知能、軍事、安全保障・制御、次世代通信の「信頼される5つの産業」を発展させるため、グローバル・サプライチェーンの重要なプレーヤーとして、地政学的変化がもたらすビジネスチャンスを把握していきます。さらに、投資環境を改善し続け、台湾人ビジネスマンの台湾への投資回帰を歓迎し、地元企業の台湾への投資拡大や滞在を奨励していきます。

台湾の産業が台湾を拠点とし、世界各地に立地し、世界中に販売されるよう、各界の友人の皆様には卓越性を追求する野心があり、政府には皆様を支援する決意があることを保証したいと思います。

台湾は「経済の太陽が沈まない国」になることが絶対に可能であり、太陽が昇るところならどこでも、台湾の企業を照らし、地域の発展に利益をもたらし、台湾の人々がより豊かな生活を送れるようにすることができるのです。

五、人民の幸せ、人民の心配

私は、経済発展の果実は皆で分かち合うべきだと固く信じています。将来、国家希望プロジェクトを推進し、社会投資を拡大することで、愛と道徳的勇気のある台湾社会を築きたい。若者は希望を見出すことができ、強い人は夢を実現することができ、高齢者は幸福を享受することができ、恵まれない人は面倒を見ることができる。誰もが人生のあらゆる段階で政府の支援を受けることができるようになります。

将来、育児、介護、社会住宅などのサービスは拡大し続けるでしょう；

物価、住宅、貧富の格差は改善し続けるでしょう；

食の安全、交通の安全、学校の安全、社会的セーフティネットの保護は継続的に強化されるべきです；

さらに、教育、司法行政、司法の変革における改革を継続しなければなりません。

私はまた、中国国民の心配と期待を理解しています。政府は、皆さんが関心を寄せるすべての問題、そして社会が必要とするすべての改革に積極的に対応するため、最大限の努力を払うつもりです。

人々はより多くの収入を得たいと望んでいるので、私は産業の高度化を促進し、より良い給与環境を作っていきます。

私はマネーロンダリング、銃、麻薬、詐欺と積極的に闘います。

私は、第二のエネルギー転換を推進し、多様なグリーンエネルギーとスマートグリッドを開発し、電力システムの回復力を強化します。

政府が存在する限り、労働保険が崩壊することはないことを改めて強調したいと思います。

私は、悪名高い「歩行者地獄」をなくすため、人間中心の交通環境を作ります。

私たちは皆、政府が家族介護者の負担を軽減し、産業界が失業者の苦境を緩和する手助けをすることを望んでおり、私はこれらの問題に積極的に取り組んでいきます。

今後は、感染症や自然災害、地震に強い台湾の実現や、都市再開発の加速化、老朽化した建築物の問題解決に取り組んでいきたいと思います。

また、医師としてのプロフェッショナリズムを生かし、各分野の力を結集してがん撲滅に取り組むとともに、スポーツ発展省を設立してすべての人にスポーツを普及させ、医療の持続可能性を確保することで、台湾の人々が健康で長生きできるようになることを期待しています。

将来、台湾は多様な生態環境と多元的な文化を維持し、環境と文化の持続可能性を実現し、より住みやすい国にしていきます。

将来、台湾は、より多様で革新的な経済、より普及したデジタル技術の応用、より優れた競争力とバイリンガリズム、より強力な公的支援サービスシステム、より男女平等な環境を実現し、すべての国民の権利が守られるようにします。

将来、台湾は各県や市がそれぞれの特性に合わせて発展できるようにし、地域の創造的産業を促進し、「バランスの取れた台湾」という目標を実行に移し、誰もが平和に暮らし、幸せに働けるようにします。

六、団結の力、国の強化

親愛なる同胞の皆さん、我が国の将来の発展にはあらゆる力が必要です。グローバル化と全面的な競争に直面したとき、どの国も単独で戦うことはできず、どのような分断社会も成功裏に立ち向かうことはできません。

私たちが団結すれば、私たちの歩みはより安定したものになり、互いに支え合えば、私たちの足取りはさらに前進します。祖国の存続と発展のために、私はすべての国民を団結させ、民主主義の力によって祖国を強化していきます。

ご存知のように、国は主権があってこそ成り立つものです。中華民国憲法によれば、中華民国の主権は全人民に属するものであり、中華民国の国籍を有する者は中華民国の国民であり、中華民国と中華人民共和国は互いに従属するものではありません。いかなる政党も併合と闘い、主権を守らなければならず、政治権力のために国の主権を犠牲にしてはなりません。

世界のより多くの国が公然と台湾の国際参加を支持することは、台湾が世界の台湾であり、台湾が世界の平和と繁栄のために信頼されるべき力であることの証明です。

すべての国民は、民族に関係なく、台湾に来たのが先か後かに関係なく、台湾を認識する限り、この国の主人です。中華民国（ROC）であろうと、台湾共和国（台湾）であろうと、台湾であろうと、私たちの国を呼ぶ名称は、国際的な友人たちと同じように、私たちにとっても声高にはっきりとしたものなのです。分断されることなく、心をひとつにして世界に向かって邁進しましょう。

七、台湾のための新しい世界、世界のための新しい台湾

台湾が世界に進出するとき、私たちは世界が台湾に進出することを歓迎します。多くの新しい友人や外国人が、台湾の新しい章を書くために、世界中から台湾にやってきました。私はあなた方に感謝し、敬意を表したいです。

今日、台湾を訪れるために何千キロも旅してきた国際的な友人たちや、行動を通じて台湾を支援するために母国に戻った華僑の方々もいます。私たちは温かい拍手で彼らを歓迎し、感謝すべきです。

1624年は、台湾が台南を出発し、台湾のグローバル化が始まった年です。「台南400年」の歴史的瞬間に立ち、台湾は自信を示し、新しい世界に向かって勇敢に航海し、世界が新しい台湾を歓迎できるようにしなければなりません。

そして、皆さんと私を生んでくれた母なる台湾を、共に守り、称え、世界に受け入れられ、国際的に尊敬される大国となるよう、行動していきましょう。

皆さん、ありがとうございました。

原文：　https://udn.com/news/story/124029/7975151