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台湾23年3月

前・現総統が各々中国、米国を訪問(政治・経済・社会)


台湾総統選挙(24/1/13)まで1年を切り、政治・経済・外交面での米台中及び関係各国の鍔迫り合いが活発になってきたように見えるが、本番はこれからだろう。マクロ経済は、全般に弱含みに転じている。台湾の23年2月の工業生産指数は年増率▲8.68%、輸入額は287億米ドル・同▲9.4%、輸出額は310.5億米ドル、同▲17.1%。消費者物価指数は上昇傾向にあり、年増率は2.43%。台湾政府は、2月23日に、コロナ後特別予算案を承認、国民への還元として、国民全員に6000NTD(2.7万円)を支給することも決定した。


総統選候補者選び:3月15日に与党民進党党首でもある頼清徳副総統が次期総統選立候補を表明、与党の候補は確定した。野党国民党は朱立倫党首は辞退の構え、人気の新北市長侯友宜氏や台中市長盧秀燕氏、現時点党員ではないが鴻海創業者郭台銘氏(TerryGou)も候補、直近報道では、党内争いを抑え、予備選を行わず6月に党が指名という話である。第三政党民衆党で前台北市長の柯文哲氏も立候補が予想されている。


前・現総統、各々中国及び米国を訪問:3月27日から4月7日まで、国民党の馬英九前総統が中国を訪問、総統経験者として初の訪中になる。一方、蔡英文現総統は、本日3月30日に経由地として米国到着、外交関係があるグアテマラとベリーズ訪問後、再度米国に立ちよりマッカーシー下院議長と4月5日に会談すると言われており、中国が反発している。昨年8月ペロシ下院議長訪台後には、中国は台湾周辺で大規模軍事演習を実施した。


チェコとホンジェラスチェコ下院議長が過去最大規模の150人以上の訪問団を率いて、3月25日から29日まで訪台した。一方、3月26日、国交のあった中米ホンジュラスが中国との国交樹立方針を受けてt中華民国政府は国交断絶を発表した。台湾と外交関係をもつ国は、13か国に減少した。


其の他台湾国防部は、3月15日、中国軍機28機と艦船延べ4隻が台湾海峡周辺で活動、一部は中間線超えや南西や南東の防空識別圏に進入したと発表。中国軍の台湾海峡・周辺域での活動は常態化している。一方、同日、中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は、ペロシ訪台後停止していた台湾産の太刀魚や冷凍アジの輸入再開を発表した。


景況見通しと生成AI(半導体・ICT)


業界の主要な関心は、いつ景況が回復するかである。台湾では、DRAM, NAND, MPU/MCU、PLD,各種Transister, 各種Diode, PMIC, DDI, CIS, LED, Laser, PD, Power, ActiveFilter, PA, MEMS等多様多種な半導体の製造と設計が行われ、巨大な半導体産業クラスターを作り上げている。各素子やICで各々需給の動きで時差や程度差は出てくるので、簡単に一括りにはできない。各々の産業連関を見る必要があるが、マクロ景況は、パワー半導体を除き、おおむね一致し、後退局面にある。また、米国の中国に対する半導体規制強化の影響にも、台湾半導体業界は強く注視している。半導体のデカップリングは進むのではないか、また、中国半導体技術開発速度にも深い影響を及ぼす可能性が高い。


直近のトピックスとしては、生成AIの可能性に注目が集まっている。私もChatGPTを試したが、画像認識、機械制御、文書や映像作成・編集、アルゴリズム作成、予測等の領域では大きな効率化を進める可能性があると思うが、感情に関わる反応にはある種不気味さも感じた(「あなたは誰?」と質問した)。Future of Life Instituteが「巨大なAI実験を一時停止せよ」との書簡を発表し、E.Mask含め多くの賛同者を集めているが、人間がAIを制御できるか?という怖さを感じさせる。ただ、半導体チップは、AI用をドライバにして、今後加速度的に進化する時が来た感を持つ。それはチップ内の処理だけでなく、チップに対する大量のデータの出し入れ、インターコネクトの部分にも大きな変化を促すだろう。またFinFETからGAA, チップレット(TSMCではCoWoS)、三次元化、伴う材料、材料加工(薄片化等等)、設備、EDA開発も引き続き重要な領域にある。


景況:2-3月前半迄は、スマホ向IC設計大手Mediatek聯發科の22Q4売上が前期比▲24%、 スマホ世界出荷が22Q4は前年比▲15%、23Q1も▲13%、ノートPC受託大手のQuanta廣達やCompal仁寶の1月のNPC出荷が前年比▲40%以上の下落、台湾Micron工場での約11千人と言われるレイオフ、TSMCやVIS世界先進等これまで堅調だったデジタルファウンダリの2月減収など厳しいニュースが続いた。しかし、最近は在庫調整の最終局面、底打ち気配の話も増えている。AUO董事長Paul彭双浪は、インフレ懸念、需給不均衡の存在を認めつつも、液晶パネル市場が回復傾向にあると述べている。ただ、ICT産業の主要市場スマホの23年世界出荷は22年比減の11.2億台との予想もあり、関連サプライチェーンの回復力は弱いだろう。しかし、業界全体の中長期的な成長に対する信頼は揺るいでいない。


車載用:広大な半導体市場の中で、車載用のシリコンパワー部品やMCUは依然逼迫状況にあるようだが、PMIC、CIS、DDI、eMMC等は需給改善が進んでいる。Teslaが発表した、次世代EVでは現在のModel3より、SiC使用量を75%減らすとの発表は一時的に業界を揺らしたが、マクロには不変で   SiC MOSFETの需要増は続くとみる。


生成AI:生成AI(Generative AI)は、最先端半導体の開発加速を促すだろう。NVIDIAは、ASML,TSMC、Synopsysと協力して、NVIDIA cuLitho Software Libraryを立ち上げ、マスク制作期間の短縮等を目指している。5nm以下(実際のゲート長はもっと大きい)では、TSMCが現在独占的な地位にある。SamsungやIntelも追撃しているが、益々差が開く可能性が大きい。TSMCは新竹で2nm工場を、台南で3nm工場を建設中、立ち上げている。           

                                      以上 / O.C.

                                                     

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