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紀州庵(台北市中正區同安街)

 台北市中正區同安街に、現在は市の古跡に指定されている「紀州庵」があります。週末の午後、誘われて訪ねました。


 紀州庵は、今からおよそ100年前の日本統治時代の大正6年(1917年)に建てられた紀州出身の平松家が経営していた料亭です。この辺りは台北市の南端で、淡水河の支流の新店渓の畔にあります。当時、川端町と呼ばれたのも、そうした河沿いに位置していたからでしょう。川辺の一帯には料亭が建ち、夏季には遊覧船による避暑が楽しまれ、料亭では鮎料理がたしなまれたと言われます。


 紀州庵は無料で入る事ができます。入室すると、すぐ目の前に六十畳の大広間がひろがっています。当時はここで宴席が行われていました。私がはいったその時間帯、大広間には殆ど人もなく、縁側に何人かが腰を掛け、庭を眺めているだけでした。私は、その大広間に暫く座し、目をつむり、往時の風景を想像していました。


 終戦後、家屋は中華民国政府に接収され、公務員の宿舎として使われました。後に有名な小説家になる王文興も子供の頃に此処に住み、代表作の《家變》にもこの場所が描かれているそうです。


 2004年に台北市の古跡に指定され、現在は台灣文學發展基金會の経営のもと「紀州庵文學森林」と名づけられ、文化活動を行っているとの事です。

Cam記(21.10.31)





 

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