top of page
  • Cam

高雄行

どうして急に高雄に行こうと思ったのだろう。1867年のローバー號事件を描いたテレビドラマ斯卡羅(SEQALU)を観て、その舞台の屏東や恆春半島に近いからだろうか(私は屏東にもまだ行ったことがない)。気に入った台湾映画「海角七號」の舞台の恒春に近いからだろうか。時代に翻弄された人々の物語「台湾1949」の著者龍應台の母が上陸したのが打狗だったからだろうか。


午後1時半前に高鉄新竹駅を出発し、1時間半ほどで高雄の左営駅に着いた。先ず、MRT捷運で観光名所になっている美麗島駅に行き<光之穹頂>を観た。土曜日の昼下がりのせいか、殆ど人は居らず、私達と同様の観光客らしい人たちが記念写真を撮っていた。インスタ映えしそうな場所だ。


美麗島駅から高雄市立歴史博物館を訪ねた。午後5時閉館だったのでタクシーで行く、5分ほどで着く。VRを使った映像を見て、ざっと高雄の歴史を振り返った。先住民の平埔族馬卡道(Makatau)族の呼び方に語源があるようで昔は打狗(ダーコウ)と呼ばれていたが、日本統治時代の1920年に高雄に改名された。

1600年代オランダ人が高雄に来ていた。1661年に鄭成功がオランダ人を破り追い出すと、高雄に県を設置した。1683年鄭氏政権は清朝に降り、清朝は台湾府を設置したが、真剣に土地や産業開発をするような拠点や状況ではなかった。19世紀半ば、欧米列強が中国に開国を迫る頃に、台灣にも多く来航、北京条約に基づき、1864年高雄港(当時は打狗港)は正式に開港した。1895年の下関条約で、台湾は大日本帝国台湾総督府の統治下に置かれた。高雄港は基隆港に次ぐ台湾第二の港に発展、日本に対し米、砂糖、バナナ、パイナップル缶詰などの農業製品を輸出、肥料を主に輸入した。1930年代になると軍需用に石油精製所や製鉄所、肥料工場等建設され重工業化が始まっていた。太平洋戦争末期、高雄は米軍による空襲を受け大きな被害を受けた。

1945年、台湾は中華民国に接収された。1947年2月、台北で勃発した二二ハ事件は高雄にも飛び火し、軍は市民に対し無差別発砲を行い、多くの市民が犠牲となり、その後も白色テロが続いた。1979年には美麗島事件が起きている。一方、1970年代から高雄は重工業都市として発展していった。


ホテルにチェックインした後、丘の上にある打狗英国領事館を訪ねた。淡水の旧英国領事館と同様の作り。そこからは高雄の市街も一望できる。1860年代から高雄での英国の貿易を管理していた。


日が暮れてきたので、夕陽を見に丘を降りた。台湾海峡に夕陽が沈んでいく。あいにく水平線に雲がかかっていたが、夕陽の光が雲へ広がり、それも美しい。海外沿いの道では、市民が思い思いに夕暮れの憩いを楽しんでいた。


夕食は海鮮を市街で食べようとタクシーに乗ったところ、運転手が向かいの旗津老街の海鮮店の方が、ずっと安くて美味しいというので、急遽方向を変え、フェリー乗り場(鼓山輪渡站)で降ろしてもらった。向かいの旗津までフェリーで五分、10元。フェリー降り場(旗津輪渡站)の前が老街で、帳も下りて、多くの市民が夕食に出てきた。ほんの数百メートルの通りだが、鴨角活海産で鱸魚の甘酢餡掛けを食べた。ビールを飲んた。美味かった。


帰路もフェリー。夜風に吹かれながら、旗津輪渡站から向かいの高雄の夜景を眺める。

鼓山輪渡站で降り、哈瑪星站までぶらぶらと歩く。そこからLRT(ライトレール)に乗って、真愛碼頭站で降りる。愛河に掛かる橋で写真を撮る。川面にビルの灯りが反射し輝いていた。


翌朝、高雄のシンボル愛河を見て別れをつげる。愛河のすぐ近くに台灣で最も古いカトリック教会,

天主教ロザリオ聖堂がある。1859年に建てられたそうだが、台湾が近代世界に開かれていく時である。あいにく閉館しており中には入れなかったが、その佇まいに歴史を感じた。


その後、mの友人お薦めの老江紅茶牛奶で朝食してから、美麗島站まで歩き、MRTで凱旋まで行き、そこからLRTに乗り換える。LRTは道路を走るので街の様子をよく眺められ、また10元と安いので便利。

新しいコンセプトの図書館と言われる高雄市立図書館に向かう。日曜日の朝の為か、人は少なく、ゆっくりと観てまわれた。高雄85大楼の向かいにある。


日が昇り、熱帯の強い日差し。図書館の前のビルの間の新光路の木陰で一休み。

高雄展覧会站から終点まで乗ってみた。将来は環状線になるようだが、今は鼓山區公所が終点。そこから最後の目的地、蓮池潭の龍虎塔に向かった。私には歴史を感じる英国領事館の方が良いが、高雄の観光名所らしい。しきたりを守り、龍から入って虎から出て、悪戯を清めていただいた。


池のすぐ近くにある左営駅から14時半過ぎの高鉄で新竹に帰る。

約24時間の高雄行だったが、海の向こうから来た外来者との歴史の交わりと重なりの上に作られた近代都市高雄、そしていつまでも変わらない台湾海峡に沈む美しい夕陽、旗津老街の夜の活気、ビル灯りを反射させて輝く愛河のゆったりとした流れ、そうしたものを肌で感じることができた。


(スライドショー写真)


閲覧数:18回0件のコメント

Comentários


bottom of page