JETRO短信より
台湾経済部投資審議司の発表によると、2024年の台湾の対外投資(中国大陸を含む)は前年比82.6%増の485億8,621万ドルと、2年連続で過去最高額となった。このうち中国大陸向けを除く対外投資は90.6%増の449億3,196万ドル、中国大陸向けの投資額は20.3%増の36億5,426万ドルだった。2021年以降は前年比減が続いていた対中投資が2桁増となった点については、「2024年は台湾企業による多国籍企業の買収案件が多く行われ(注)、買収した企業による実施済みの対中投資が含まれるためで、台湾企業による実際の対中投資とは異なる」と説明した。
台湾の対外投資は、1993年に対中直接投資が解禁されて以来、2022年まで30年間、中国向けが首位だったが、ピーク時の2010年には83.8%を占めていた対中投資のシェアは減少傾向が続き、2024年のシェアは7.5%まで低下した(添付資料図参照)。また、ASEAN向けが84億9,417万ドルで、2023年に続いて中国大陸向けを上回った。
金額順にみると、1位は米国141億2,649万ドル(シェア29.1%)、2位は英領中米(主にケイマン諸島、バージン諸島)87億8,309万ドル(18.1%)、3位シンガポール58億609万ドル(12.0%)、4位日本54億9,021万ドル(11.3%)だった(添付資料表参照)。米国、英領中米、日本向けの投資は、台湾積体電路製造(TSMC)の大型投資が牽引した。TSMCはTSMCアリゾナ向けに約125億ドルの増資を行ったほか、英領ケイマン諸島のTSMC GLOBALに対して約80億ドル、熊本県のJASMに対して約53億ドルの増資を行った。シンガポール向けでは、鴻海精密工業Foxconnが子会社のフォックスコン・シンガポールに約26億ドルを増資したほか、半導体ファウンドリーの世界先進積体電路VISがオランダの半導体メーカーNXPセミコンダクターズと設立した合弁会社VISIONPOWER SEMICONDUCTOR MANUFACTURING CONPANYに対して約24億ドルの投資を行った。
投資審議司は近年の対外投資金額の増加について、台湾企業がグローバルサプライチェーンの再編の中でビジネスチャンスをつかみ、キープレーヤーとしての役割を強化している、と指摘した。
(注)鴻海によるドイツのZFシャシーモジュールの買収、AUO(友達)によるドイツのBHTCの買収、文曄科技によるカナダのフューチャーエレクトロニクスの買収などがあった。
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